オンラインストレージでのファイル共有

社内のファイル管理や社員でのファイル共有の手段として、多くの企業でファイルサーバやNASが導入されています。

最近ではテレワークを実施している企業も増えており、自宅など、社外で業務を行なうことも珍しくなくなりました。

このように働き方が変化する中で、社内から利用することを前提としていたITシステムを、自社の外からも使えるようにしたいと考える方も増えてきています。

今回は場所を選ばずに利用できるファイル共有の手段として、オンラインストレージサービスについて解説していきます。

オンラインストレージはインターネット上に用意された、ファイル保存や共有のためのスペースのことであり、ファイルサーバやNASと同じように、ファイル管理に利用できます。

ファイルサーバやNASではパソコン上のフォルダを操作するように利用しますが、オンラインストレージは基本的にWebブラウザから利用します。

利用者はWebブラウザからオンラインストレージを使用するため、インターネットに接続できる環境であれば、場所を選ばず外出先や自宅などからも利用することができます。

オンラインストレージの特徴として、保存されたファイルに対しての共有リンクを作成できることが挙げられます。

作成した共有リンクからファイルをダウンロードすることができるため、共有相手に直接ファイルを送る必要がありません。

共有リンクを使うことで、メールに添付できないような大きなファイルでも受け渡すことができます。

また、共有リンクにはパスワードや有効期限、ダウンロード回数の制限を設定することができるため、必要な人とのみファイルを共有できます。



<「ファイル管理の選び方12ポイント」はこちら>


オンラインストレージの導入方法

オンラインストレージの導入方法としては、大きく以下の2つがあります。

  • サービスとして提供されているオンラインストレージを利用する
  • 自社でオンラインストレージサーバを用意する

 

オンラインストレージサービスを利用する

クラウド型サービスとして提供されているオンラインストレージは多くあります。

オンラインストレージサービスを利用する利点として、導入時のコストを抑えられ、素早く利用を開始できることが挙げられます。

サービス提供事業者がサーバやハードディスクなどの機器を管理するため、自社で機器メンテナンスなど物理的な運用の必要はありません。

使用できるストレージ容量やバックアップの有無、ユーザ認証の強化など、提供事業者のサービスごとに利用できる機能やオプションは異なるため、自社にとって必要な要件を明確にし、サービス選定をする必要があります。

オンラインストレージサービスはユーザ数での従量課金の場合が多いため、利用人数の増加に伴いランニングコストも増えていきます。

利用する人数によっては、自社でクラウド上にサーバを用意する方がコストを抑えられる場合もあるかもしれません。

そのため、自社でサーバ運用していくことができるかどうかも検討の必要があるでしょう。

自社でオンラインストレージサーバを用意する

クラウド環境へのオンラインストレージサーバを用意する

クラウド環境に自社のオンラインストレージサーバを構築し利用することもできます。

オンラインストレージをサービスとして利用するのと比較し、設計・構築費用など導入コストがかかります。

構築期間が必要になるため、導入を決めてから実際にユーザが利用できるようになるまでに時間もかかります。

自社でサーバを用意することのメリットとしては、カスタマイズの自由度が高いことが挙げられます。

例えば、サービス型では満たせないセキュリティ要件など、自社で厳守すべき事項がある場合でも、対応することができます。

コスト面では、クラウド環境の利用料がかかりますが、ユーザが増えたとしても料金は大きく変わりません。

利用人数が多くなるにつれて、ユーザ課金のオンラインストレージサービスよりもトータルコストを抑えられる場合があります。

多機能NASのオンラインストレージ化

最近のNAS製品の中には、ファイルをダウンロードするための共有リンクを作成できる機能を持つものもあります。

そのような多機能NASを自社に導入し、オンラインストレージとして利用することも選択肢のひとつとなるでしょう。

オンラインストレージのセキュリティ

オンラインストレージはインターネットを経由して利用することが基本となります。

ファイルを保存、共有することがオンラインストレージの役割であるため、保存されているファイルの流出などは情報漏洩の原因となります。

オンラインストレージはマルチテナント方式という、1台のサーバに複数の利用者スペースを作る形態で提供されているものも少なくなく、利用者は共通のサービスページから、ユーザIDとパスワードで認証されログインしています。

上記の場合、万が一サービスのアカウント情報が漏洩してしまうと、ユーザIDとパスワードのみで正規のユーザとしてログインできてしまうため、情報漏洩のリスクとなります。

こういったセキュリティリスクを低減させるため、法人向けオンラインストレージサービスでは提供事業者側で用意したセキュリティ対策の機能を追加できるものがあります。

例えば、セキュリティ対策の機能として、アクセスログの収集や接続元の制限、多要素認証が挙げられます。

情報漏洩の多くは社員の誤操作など、人的要因が引き金となり起こっているといわれていますので、利用者である社員のセキュリティに対する意識を高めることも、セキュリティ事故を防止する重要な取り組みといえます。

※参考

「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」


オンラインストレージに保存するファイルの中身や、企業のセキュリティ要件により、どの範囲までのセキュリティ対策をするべきかは変わります。

サービスとしてオンラインストレージを利用するか、自社の環境に用意するかの判断には、セキュリティ面での検討も重要であるといえるでしょう。



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