「クラウド」という考え方が登場する以前は、企業がシステムやサーバを導入する場合、自社の中で情報システムを保有、運用、管理する「オンプレミス」での導入が一般的でした。
現在ではAWSやAzureといったパブリッククラウドが広く企業で利用されるようになっており、システムの導入検討の際にオンプレミスかクラウドのどちらを選択するべきか、という声もよく耳にします。
今回は多くの企業で導入されているファイルサーバの、オンプレミスからクラウドへの移行について解説していきます。



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オンプレミスとクラウドでのサーバ管理

社内のファイル管理のために多くの企業ではファイルサーバを導入しています。
ファイルサーバは社員間のファイル共有や日々の業務に必要なファイルなどを保存するために利用されます。
特別な用途での一時的な利用の場合を除き、基本的にファイルサーバは数年からそれ以上といった長期間に渡って利用されることとなります。
サーバを導入し利用していくうえで、オンプレミスとクラウドでは自社で行う必要のあるサーバ管理の範囲に違いがあります。

オンプレミスでのサーバ管理

サーバ機器やハードディスクの故障時の対応や、ハードウェアの保守期限が切れればサーバ自体をリプレイスすることになります。
ファイルサーバやデータを保存しているハードディスクが故障した際には、ハードウェア機器交換など復旧作業を行う必要がありますし、ファイルサーバのリプレイスの際には、サーバ機器の新規購入とデータの移行作業が発生します。

サーバ機器の管理を外部ベンダーに依頼している場合、上記の作業を自社で行う必要はありませんが、機器の故障やサーバのリプレイス自体がなくなるわけではありません。
オンプレミスでは自社で全てを管理することができますが、その分の管理作業の負担が大きくなります。

クラウドでのサーバ管理

ファイルサーバをクラウド環境で稼働させる場合、オンプレミスで行う必要のあったサーバ管理の多くはクラウド提供事業者が行うことになり、利用者側はサービスとしてクラウド上のサーバを利用します。
クラウド事業者が提供しているサーバやハードディスクの保守はクラウド事業者側で管理されています。

そのため、クラウドを利用する際にはハードウェアの故障やリプレイスについて利用者が意識する必要はありません。
ファイルサーバのような長期間利用するものであれば、ハードウェア機器の管理をする必要がなくなるのはクラウド利用の大きなメリットといえます。

ただし、ファイルサーバに保存するデータについては利用者側の責任で管理することになるため、バックアップ取得などの対策はオンプレミスと同様に実施する必要があります。
クラウド環境を利用する場合、ハードウェアの管理をしなくてすむため作業コストは削減できますが、クラウドサーバの利用料というかたちでランニングコストがかかることになります。



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ファイルサーバのクラウド移行の際の注意点

データ移行

オンプレミスで稼働しているファイルサーバをクラウド化する際の問題として、クラウドへのデータ移行が挙げられます。
長年利用してきたファイルサーバの場合、保存されたデータ容量が数TBと大きいことも珍しくなく、全データをそのままクラウドに移行する場合は注意が必要です。

LANケーブルで接続されたローカルネットワークと比較し、インターネット経由では通信速度がボトルネックとなるため、オンプレミスのファイルサーバからクラウドファイルサーバへのデータ移行には十分な時間を見積もっておく必要があります。
また、クラウドファイルサーバへデータをコピーしている間はその分のネットワーク帯域を消費することになるため、パソコンなど他の機器からのインターネット利用に影響がでることがあります。
利用者の少ない休日や夜間にデータ移行を行うことで他の利用者への影響を最小限に抑えることができますが、移行するデータ量によっては複数回に分けてデータ移行作業を行う必要があるかもしれません。

ファイルサーバをクラウド化する際にはデータ移行の方法や日程をあらかじめ計画しておくことが重要となります。
クラウド事業者によっては大容量のデータ移行のためのサービスを用意しているため、必要に応じてそのようなサービスを利用することを検討するのもよいでしょう。

クラウドファイルサーバ上のフォルダ・ファイルへのアクセス権設定

ファイルサーバ利用において、ユーザやグループ単位でフォルダ・ファイルへのアクセス権を設定することができます。
オンプレミスでのサーバリプレイスの場合でもいえることですが、データ移行後にクラウドファイルサーバに作成した共有フォルダや、移行したフォルダ・ファイルのアクセス権を設定することになります。
ActiveDirectoryを使用している環境であれば、クラウドファイルサーバとADを連携させることでユーザやグループの情報を使用することができますが、そうでない場合、クラウドファイルサーバ上にユーザとグループを作成しなおす必要があります。

オンプレミスのファイルサーバとクラウドファイルサーバの並行稼働の期間を設けることで、移行作業による業務への影響を低減することができます。
ファイルサーバの並行稼働の際には、ファイルの更新内容の消失を防ぐため、新旧ファイルサーバの利用ルールを明確にしておくことが重要でしょう。

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