バックアップの必要性
さまざまな業務がシステム化している現在では、業務データの多くは電子データとして保存されています。
そのため企業活動を継続するうえで、データ損失や利用しているシステム自体の停止はリスクとなりえます。
今回は、有事の際に業務データを失うリスクの備えとして、バックアップについて解説していきます。
データ消失の主な原因
なにか問題が起こるまで意識されることは少ないかもしれませんが、以下のような原因でデータが破損したり消失したりすることがあります。
- ユーザの誤操作によるファイルの削除や、更新ミスなどの人為的な事故
- ハードディスクやサーバ機器の故障や不具合
- 落雷や火災、地震などによる災害
- パソコンやサーバのウイルス感染
例えば、以下のグラフのように日本の自然災害の発生件数と被害はこの数十年増加傾向にあります。
増減はありつつも、発生件数・被害額ともにアベレージは上昇しています。
1991-1995と2011-2015の被害額が突出しているのは、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災のためであることは言うまでもありません。
このようなリスクのすべてを100%防ぐことはできません。
そのため、失ってしまうと業務継続に影響のある重要なデータはバックアップを取得しておくことが必要になります。
データ消失のリスクに備えるバックアップ
バックアップを取得する目的は、有事の際にデータが消失してしまった場合でも、元のデータを復元し業務を継続できるように備えることです。
一言にバックアップといっても、データだけ復元できれば良いのか、システム全体の復元が必要であるかなど、対象によって実施すべきバックアップ方法は異なります。
BCP(事業継続計画)対策にも関係しますが、システム障害や災害時にどの程度までの事業継続性を求めるのかにより、バックアップ方法や、保存期間などを決定する必要があるでしょう。
ファイルサーバにおけるバックアップの必要性
ファイルサーバは社員間でのファイル共有の手段として多くの企業で使われています。
複数のユーザが利用し、日々の業務ファイルを保存するためファイルサーバの中身は頻繁に更新されます。
ファイルサーバのようにユーザが直接利用するものの場合、ハードウェアの故障に加えユーザの誤操作によるデータ消失のリスクも高まります。
バックアップは企業活動の継続が目的ですので、業務に必要なデータを保存しているファイルサーバについては、バックアップを取得するべきであるといえます。
ファイルサーバのバックアップ取得
ファイルサーバのバックアップ取得の方法として、外付けハードディスクへファイルをコピーしておく方法があります。
バックアップを取得する頻度や保存しておく期間は、バックアップ取得対象の業務への影響度合いに合わせて決めましょう。
たとえば日次で業務に必要なファイルをコピーしバックアップとして保存していれば、ファイルサーバが故障したとしても、前日の時点のファイルであればバックアップに保存されていることになります。
このバックアップを利用すれば、バックアップ取得から現在までの作業データは失われてしまいますが、業務を継続することは可能でしょう。
ただ忘れてはならないことは、外付けハードディスク自体も故障する可能性があるということです。
バックアップが取得されていることと、取得したバックアップが復元できる状態で保存されていることを定期的に確認する必要があります。
機器の故障リスクを考慮せずにバックアップを保存したいなら、クラウドストレージにバックアップを保存するというのもひとつの選択肢となります。
クラウドサービスの場合、クラウド事業者が機器の保守やメンテナンスを行うため、利用者側による機器メンテナンスなどの負担を軽減することができるでしょう。
バックアップからのデータ復旧
バックアップは取得しているだけでは十分とはいえません。
機器が故障した時など、有事の際にできるだけ業務を止めないことがバックアップを取得する目的です。
そのため、有事の際のデータ復旧手順書を用意し、定期的に訓練をしておくことが必要です。
多くの場合はシステム管理者や、担当者がバックアップからのデータ復旧を行うことになりますが、手順書があれば担当者以外の社員にもデータ損失から復旧までの一連の流れを共有できます。
バックアップからのデータ復旧は頻繁に起こることでは無いかもしれません。
しかし、正常に利用できているうちにしっかりと準備をし、対策を講じておくことで、有事の際のデータ損失の被害や業務への影響を低減することができるでしょう