仮想デスクトップ導入前のポイント
高レベルのセキュリティを維持しやすいだけではなく、テレワークなどにも有効なシステムに仮想デスクトップがあります。優れたシステムであるが故に、手軽に導入できるものではないので、導入前に気を付けることを挙げてみたいと思います。
導入の目的の明確化
仮想デスクトップに限りませんが、ITシステムを導入した後に、必要な機能が足りなかったということは珍しくありません。
事前に導入の目的をはっきりさせておくことで、導入後に「実はこんな機能が必要だったのに…」と困惑することを防ぐことができます。
実際にシステムを使用する方々の声に耳を傾け、要望を反映させることも忘れてはなりません。
仮想デスクトップの導入は、経営戦略のひとつと言っても過言ではありません。
十分に使用目的や費用対効果を考慮した上で導入するようにしましょう。
対象業務・使用アプリケーション・周辺機器の整理
仮想デスクトップを利用する上で次のようなことを把握しておく必要があります。
- どの業務を仮想デスクトップで行うか
- 使用頻度の高い業務アプリケーションが上手く動作するか
- PC以外の周辺機器(プリンタ、スキャナ、NASなど)との連携は出来るか
例えば、ビデオ通話のような、ネットワーク負荷の高いアプリケーション、ゲームのような画面全体が頻繁に書き換わるもの、動画の視聴などは仮想デスクトップ上で上手く動作しないことがあるので注意が必要です。
また、周辺機器についても、ベンダやモデルを一旦すべて洗い出し、仮想デスクトップと上手く連携できるか事前に確認するようにしましょう。
ネットワークやサーバなどインフラの事前調査
仮想デスクトップがスムーズに動くかどうかは、ITインフラ全体の品質に左右されます。ネットワーク機器やサーバリソースの見直しを行い、十分な処理量を確保しましょう。
中長期的な視点でのコスト計算
仮想デスクトップは、業務システムとして短くはない期間使用するものです。なので、費用対効果を考える上で運用費用も重要になってきます。
- ソフトウェアバージョンアップ費用
- バックアップ費用
- 障害対応時の人件費
- セキュリティ対策費
など、導入後にかかるコストは複数あります。初期費用だけではなく、運用費用についても考えましょう。
仮想デスクトップ導入後のポイント
メンテナンス
仮想デスクトップは、ほとんどの場合部署単位などに分割して順次導入していきます。導入にかかる期間が長くなると、仮想デスクトップシステムのバージョンが部署によって変わってしまい、管理しにくく、問題発生時に対応の困難なシステムになってしまいます。
他にもベンダのサポートが受けにくかったり、セキュリティ状態が万全ではなくなったりしてしまいます。そうならないように定期的にメンテナンスし、仮想デスクトップシステムはできるだけ最新版に統一するようにしっかりとメンテナンスしましょう。
社内ユーザ教育
いくら仮想デスクトップを導入しても、その使い方がわからなければ、無用の長物になってしまいます。導入したら終わりではなく、導入してからがスタートです。利用方法のトレーニングや、利用手順を順次更新していくなど、現場社員のリテラシーを向上させることも重要です。
まとめ
仮想デスクトップを使えばセキュリティ対策や働き方改革への対応などを包括的に解決する事ができます。しかし、導入や運用が難しいという声があるのも事実です。何が必要なのか、どのように使うのかなど、しっかりと目的を定めて導入を行いましょう。